保健師管理栄養⼠

ヘルスケアnote

Health care note


その食事、実は間違っているかも?

その食事、実は 間違っているかも?

「健康のために食事に気をつかっている」という人は多いですが、間違った方法のせいで逆効果になるケースも少なくありません。せっかくの努力を無駄にしないためにも、正しい知識を身につけましょう。

1つの栄養素にばかり目を向けていませんか?



最近は、糖質に気をつけて食事をしている人も多いと思います。では、下の5つの中で、もっとも糖質が少ないおかずはどれか考えてみましょう(重さはどれも同じ100gとします)。

①ざるそば ②シューマイ ③牛すじの煮物 ④酢レンコン ⑤いかそうめん

正解は⑤のいかそうめんです。それぞれのおかずについて簡単に解説します。

①ざるそば
そばは穀類(⽶や⼩⻨と同じ分類)なので、⼗割蕎⻨でも糖質を含んでいます。

②シューマイ
シューマイの⽪は⼩⻨粉から作られており、糖質を含んでいます。

③⽜すじの煮物
⽜すじそのものに糖質はありませんが、⽢⾟い煮物には糖質の多い砂糖が使われています。

④酢レンコン
レンコンは野菜の中では⽐較的糖質を多く含んでおり、味付けには砂糖も使われています。

⑤イカそうめん
イカは糖質をほとんど含まない⾷品で、かつ⽣⾷のため糖質をほぼ含みません。

1つの栄養素にばかり目を向けていませんか?

「糖質を含むかどうか」は、食材と調味法の両方を考える必要があることを忘れないようにしましょう。また「イカそうめんなら、いくら食べても問題ないのか」と思った方がいるかもしれませんが、それは誤った認識です。一人前であれば問題ありませんが、イカだけをたくさん食べると、コレステロールの過剰摂取につながります。食材にはさまざまな栄養素が含まれているので、1つの栄養素だけに目を向けると、栄養バランスが崩れるので注意しましょう。
ちなみに、糖尿病患者が行う食事療法でも、糖質の摂取量だけを厳しく制限することはありません。適正なエネルギー摂取量を守ることと、栄養バランスに気をつけることが主な治療となります。糖質ばかりに気をとられるよりも、バランスのよい食事を心がけることを意識しましょう。

「体によい」にも意外な盲点が…



私自身がよくお聞きするのは、健康に気をつかって「アマニ油やえごま油を毎日とっています」というものです。みなさん「体によい油を摂取したい」と考えているのですが、ここにも意外な盲点があります。
油脂類の栄養成分表を見ると、油はほぼすべての種類で1g約9kcalでエネルギー量は変わりません。もし、今までどおりの食事にプラスしてこれらの油を摂取してしまっているとしたら、エネルギー量が増えて、体重増にもつながってしまいます。

「体によい」にも意外な盲点が…

アマニ油やえごま油には、体内では生成できない、体の組織が正常に機能するのに不可欠な“αリノレン酸”が含まれています。αリノレン酸は、体内で中性脂肪低下作用があるEPAや認知機能の改善効果があるDHAに代謝されますが、これらは青魚に多く含まれる成分です。つまり、アマニ油やえごま油を特別に買わなくても、青魚を食べればよいのです。
油の栄養素は脂質だけですが、青魚ならたんぱく質もとれますし、水煮缶であれば骨まで食べられてカルシウムも摂取できるのでおすすめです。

煮魚やお鍋が美味しい季節です。柑橘類も出回るので、柚庵焼きや刺身を使った手軽なぶりしゃぶなどで、青魚を積極的に摂取してみてはいかがでしょうか。あわせて、普段の食事について、さまざまな食材をバランスよく摂取できているかどうか、もう一度振り返ってみましょう。